1. 「かっこいい」は褒め言葉なのか?
エステやサロンのWebサイトでよく見かけるのが、スクロールに連動して画像や文字が動いたり、凝ったアニメーションが多用された“かっこいい”演出。確かに制作サイドとしては、「プロっぽさ」や「こだわり」を表現したくなります。
しかし、その「かっこよさ」は本当にユーザーにも刺さっているのでしょうか?
制作者や発注者が「かっこいい」と感じているだけではないか、という視点を一度立ち止まって考えてみる価値があります。
2. ユーザーが本当に求めているものとは
ユーザーがサロンのWebサイトにアクセスする目的は明確です。「雰囲気を知りたい」「価格を知りたい」「予約したい」。それに対して、サイトが目的地に最短距離で導けているかどうかが本質です。
例えば、ページの読み込みに5秒以上かかると、約40%のユーザーが離脱するという調査があります(Google, 2017)。また、CTA(予約ボタンなど)への到達に複雑な動きやレイアウトが介在すると、離脱率やCVRが著しく下がる傾向があります。
美的価値を優先するあまり、肝心の「機能的価値」が損なわれていないか?その点は常に意識したいところです。
3. 自己満足と実用性のバランス
制作側も発注側も、どうしても「がんばって作った感」を重視しがちです。ですが、実際のユーザーは「デザインに感動した」よりも、「必要な情報がすぐに見つかった」ことに価値を感じています。
結局のところ、ユーザーにとって必要なのは「安心」と「納得」。かっこよさや演出は、それらを損なわない範囲で活かすのが望ましいのです。
4. 「かっこよさ」を活かすには
動きや装飾には、正しく使えばユーザー体験を高める効果があります。
- CTA直前のマイクロアニメーションで注目を集める
- 画像のフェードインでブランド感を演出する
- ホバー時のインタラクションで安心感を与える
ポイントは「過剰でない」「目的が明確」「動きが軽い」の3点。サイトの目的と連動した演出であれば、効果的に“かっこよさ”を活かすことができます。
5. 結論:「かっこいいサイト」を作る前に立ち止まろう
サイトは「誰かに見てほしい」「行動してほしい」と思って作るものです。だからこそ、制作者や発注者が“自分の好み”で突っ走るのではなく、一度冷静に「これはユーザーにとって親切か?」と問う姿勢が大切です。
あなたのサイトは、誰のためのものですか?
伝えたい相手に、伝わる構造になっていますか?
その答えに、きっと「本当にかっこいいサイト」があるはずです。