Webサイトを作るための仕組みとして、WordPressは長い間、圧倒的な存在であり続けています。

Web技術の利用状況を調査しているW3Techsによると、2026年9月時点でWordPressは全Webサイトの40.7%で利用されています。W3TechsがCMS等を判別できるサイトに限れば、そのシェアは58.9%です。[1]

Webサイトを作ろうと考えたとき、最初にWordPressを思い浮かべる人が多いのも不思議ではありません。

ところが、その数字を過去まで遡ると、少し興味深い変化が見えてきます。

圧倒的ではある。でも、シェアは下がっている

W3Techsの統計では、WordPressのシェアは2022年に65.2%でした。

その後、

  1. 2023年 63.7%
  2. 2024年 62.9%
  3. 2025年 62.0%
  4. 2026年1月 60.2%
  5. 2026年9月 58.9%

と推移しています。[2]

もちろん、58.9%という数字は依然として圧倒的です。

これだけを見て「WordPressが使われなくなっている」と考えるのは早計でしょう。

一方で、同じ統計ではShopify、Wix、Squarespaceなど複数のサービスがシェアを伸ばしています。

一つの汎用的なプラットフォームに集中していたWebサイトの作り方が、少しずつ複数の選択肢へ分かれているようにも見えます。

そして、この変化を考えるうえで、もう一つ気になる存在があります。

生成AIです。

生成AIは「Webサイトを作る」を変えた

これまでWebサイトをゼロから作るには、HTMLやCSS、JavaScript、PHPなどについて一定の知識が必要でした。

WordPressをはじめとするCMSやWebサイトビルダーが普及した背景には、こうした技術をすべて理解しなくても、Webサイトを制作・更新できるという大きな価値があります。

ところが生成AIの登場によって、この前提が変わり始めています。

「このようなWebサイトを作りたい」と伝えれば、生成AI自身がHTMLやCSS、JavaScript、PHPなどのコードを書くことができます。

もちろん、生成されたコードを確認したり、サーバーへ配置したり、不具合やセキュリティに対応したりする知識まで不要になったわけではありません。

それでも、「コードを書く」という作業のハードルが大きく下がったことは確かでしょう。

ここで、一つの疑問が生まれます。

なぜ、特定のプラットフォームの上に作るのか

生成AIが必要なコードを書いてくれるのであれば、Webサイトを作るために、あえて特定のプラットフォームを選ぶ必要はあるのでしょうか。

WordPressで作るなら、WordPressの仕組みに合わせてサイトを構築します。

テーマやプラグインを管理し、WordPress本体を更新し、その環境の中でWebサイトを運用していきます。

もちろん、それ自体が問題なのではありません。

むしろWordPressには、それをするだけの理由があります。

問題は、

「WebサイトだからWordPressを使う」

という順番が、これからも当然なのかということです。

生成AIがコードを書いても、運用は残る

ここまで考えると、生成AIによってWordPressが必要なくなるようにも思えます。

しかし、Webサイトには「作る」だけではなく「運用する」という仕事があります。

  1. 記事を書く
  2. 画像を管理する
  3. ページを追加する
  4. 複数の担当者で更新する
  5. ユーザーごとに権限を設定する
  6. 必要な機能を追加する

こうしたことを日常的に行うのであれば、長年にわたって整備されてきたWordPressの管理機能や豊富なエコシステムには大きな価値があります。

生成AIがコードを書けることと、CMSが不要になることは同じではありません。

実際、WordPress自身もAIと対立しているわけではありません。

WordPressプロジェクトは2025年5月、AI関連の開発を調整・推進する「WordPress AI Team」の設立を発表しています。[3]

「生成AIかWordPressか」という単純な二者択一ではなく、生成AIによってWordPressそのものを作りやすくしたり、運用しやすくしたりする方向も進んでいます。

変わるのは、「選ぶ順番」なのかもしれない

そう考えると、生成AIによって変わるのはWordPressそのものではなく、Webサイトを作るときの「選ぶ順番」なのかもしれません。

これまでは、

Webサイトを作る → WordPressを使う → WordPressの上で必要なものを作る

という考え方が自然でした。

これからは、

どんなWebサイトが必要なのか → 誰が、どのように運用するのか → どんな機能が必要なのか → それを実現するための仕組みを選ぶ

という順番でも考えられます。

その結果、WordPressが最適ならWordPressを使う。

更新する場所がほとんどなければ、もっとシンプルな構成にする。

ECが中心なら、それに特化したサービスを選ぶ。

必要な部分だけにCMSを用意するという方法もあります。

つまり、

「WordPressを使わない理由」を探すのではなく、

「WordPressを使う理由」を考えてから選ぶ。

生成AIによって、そんなWebサイト制作が以前より現実的になってきたのではないでしょうか。

それでもWordPressを使う理由は何だろう

WordPressが近い将来なくなるとは考えにくいでしょう。

現在でも全Webサイトの約4割で使われている巨大なプラットフォームであり、自らも生成AIを取り込み始めています。

また、WordPressのシェア低下と生成AIの普及に因果関係があることを示すデータも、現時点では確認できませんし、「生成AIによってWordPressが衰退している」と結論づけることはできません。

ただし、生成AIによってWebサイトの作り方そのものが変われば、一つの問いは残ります。

生成AIが必要なコードを書いてくれる時代に、それでもWordPressを使う理由は何か?

理由を考えた結果としてWordPressを選ぶ。

あるいは、別の方法を選ぶ。

これからのWebサイト制作では、「何を使うか」より先に、「なぜそれを使うのか」を考えることが、これまで以上に重要になるのかもしれません。

【参考資料】[1] W3Techs「Usage statistics and market share of WordPress」2026年9月 〜 WordPress:全Webサイトに占める利用率40.7%、W3TechsがCMS等を判別できるサイトにおけるシェア58.9%。 [2] W3Techs「Market share yearly trends for content management systems」2026年9月 〜 WordPressのシェア推移:2022年65.2%、2023年63.7%、2024年62.9%、2025年62.0%、2026年1月60.2%、2026年9月58.9%。 [3] WordPress.org「Announcing the Formation of the WordPress AI Team」2025年5月27日 〜 WordPressプロジェクトがAI関連プロジェクトの推進・調整を目的とした専門チームの設立を発表。