HOT PEPPER Beautyは、新しいお客様と出会うための強力な集客チャネルです。

一方で、掲載費をはじめ、HOT PEPPER Beautyを通じて予約・来店につながることで発生する費用もあります。

新しいお客様との出会いにコストがかかること自体は、不自然なことではありません。集客のための媒体なのですから、その役割に対して費用を払うのは合理的です。

ただ、一度来店したお客様が、その後も二度、三度とHOT PEPPER Beautyを経由して予約を続けるとしたらどうでしょうか。

すでに自店を知っているお客様との関係まで、ずっと集客媒体を経由し続ける必要があるのか。

そこで、

新規のお客様との出会いにはHOT PEPPER Beautyを活用し、来店後のお客様とはLINEなどで直接つながり、自社の予約導線を持ちたい。

そう考えるのはごく自然です。

ところが、実際にその仕組みを作ろうとすると、別のコストが見えてきます。

自社予約は、本当に安いのでしょうか。

自社予約を増やすと、予約管理が難しくなる

LINE公式アカウントなどから自社の別の予約システムへ誘導すること自体は、それほど難しくありません。

問題は、HOT PEPPER Beautyから入る予約も発生することです。

HOT PEPPER Beautyから入った予約はSALON BOARD(*HPBの予約管理システム)へ。

自社予約は自社で用意した別の予約システムへ。

二つの予約台帳がそれぞれ空き枠を持っていれば、同じ時間に予約が入る可能性があり、ダブルブッキングしてしまいます。

そこで必要になるのが、複数の予約経路を一つにまとめる仕組みです。

SALON BOARD自体にも「サロンダイレクト」という、自社サイトなどから予約を受ける仕組みがありますが、サロンダイレクトによる集客も結局は手数料の対象となります。

一方、HOT PEPPER Beautyからの予約を残しながら、別に自社予約の仕組みを持つ場合には、外部の予約一元管理サービスを利用する方法もあります。

予約コストを減らすために、月額料金を払う

こうした予約一元管理では、リザービアなどが知られています。

今回調べていて興味深かったのが、GiLというサービスでした。

GiLでは自店用のWeb予約ページを作り、LINEやInstagram、Googleマップなどから予約へ誘導できます。さらにHOT PEPPER Beautyとの予約連携も用意されています。

公式サイトに掲載されている基本利用料は月額5,500円(税込)。HOT PEPPER Beauty連携は月額3,300円(税込)なので、この組み合わせでは月額8,800円(税込)からです。

ここで少し不思議なことが起こります。

集客媒体を経由し続けることで発生するコストを抑えるために自社予約を増やそうとしているのに、そのための仕組みに毎月8,800円を払う。

では、この8,800円は高いのでしょうか。

月額8,800円は、高いのか

これは料金だけを見ても判断できません。

たとえば、自社予約へ移行することで削減できる費用が月額料金を大きく下回るのであれば、コスト削減だけを目的にシステムを導入する経済的なメリットは小さいでしょう。

反対に、自社予約へ移行するお客様や売上が増え、それによって削減できる費用が大きくなれば、固定費を払って仕組みを持つ意味も変わってきます。

つまり、

集客媒体を経由することで発生するコスト。

自社予約の仕組みを維持するための固定費。

この二つを比べる必要があることは自明です。

ただし、選択肢はもう一つあります。

「人がやればいい」なら、0円なのか

外部サービスを使わなくても、人が管理することはできます。

HOT PEPPER Beautyに予約が入ったら、自社予約側の枠を手で塞ぐ。

自社予約が入ったら、SALON BOARD側の予定も調整する。

予約件数がそれほど多くなければ、これで十分な場合もあるでしょう。

月額8,800円を払うくらいなら、自分たちでやったほうがいい。

それも合理的な判断です。

ただ、ここで注意したいことがあります。

人がやる仕事は、0円に見えやすい。

たとえば一件の予約について、確認、転記、空き枠の調整に2分かかるとします。

月100件なら200分。3時間を超えます。

さらに、予約変更やキャンセルがあれば修正する。スタッフ間で確認する。入力を忘れていないか確認する。

営業時間外に入った予約はタイムリーな対応が難しくなるでしょう。

そして、手作業である以上、転記忘れやダブルブッキングのリスクもあります。

人の仕事には、請求書が来ない

予約システムを導入すれば、毎月8,800円の請求が来ます。

だから8,800円というコストは、とてもわかりやすく認識できます。

一方で、毎日スタッフが10分ずつ予約を確認していても、「予約管理費8,800円」という請求書は届きません。

そのため、人が行っている作業はコストとして意識されにくくなります。

これは予約管理に限った話ではありません。

「それくらいなら手でやればいい」

「人が確認すればいい」

「気をつければ間違えない」

業務の中には、こうした仕事がたくさんあります。

もちろん、本当に人がやったほうがいい場合もあります。

予約件数が少ない店舗なら、月額料金を払ってまで自動化する必要はないかもしれません。

問題なのは、

8,800円と0円を比較してしまうことです。

本来比較するべきなのは、

システムに払う8,800円と、

人が処理する時間、確認する時間、そしてミスが起きるリスクです。

自社予約にすれば、コストがなくなるわけではない

そう考えると、自社予約に移行すれば単純に安くなる、とは言えません。

HOT PEPPER Beautyなどの集客媒体を経由すれば、それに伴う費用が発生する。

外部の予約一元管理サービスを使えば、固定費が発生する。

システムを使わず人が管理すれば、人の時間と管理上のリスクが発生する。

つまり、

コストをなくしているのではなく、どこにコストを払うのかを選んでいる。

ということになります。

だから、予約システムの月額料金だけを見て「高い」「安い」と判断するのは、少し早いのかもしれません。

「人ができること」に、お金を払う意味

システムにお金を払うというと、人間にはできない高度なことをしてもらうイメージがあります。

でも、実際にはそうとは限りません。

人が確認する。

人が転記する。

人が空き枠を調整する。

人が間違えないように気をつける。

そうした、人間でもできる仕事を仕組みに置き換えるためにお金を払うこともあります。

「人がやればできるから、システムはいらない」

という判断は間違いではありません。

ただし、その判断をするときに、人がやる仕事を0円としてはいけない。

HOT PEPPER Beautyを使い続けるのか。

自社予約の仕組みに固定費を払うのか。

それとも、人が管理するのか。

どれが正解かではなく、

自店にとって、どこにコストを払うのが合理的なのか。

予約システムを選ぶときには、料金表には載っていないコストまで含めて考えてみる必要がありそうです。

【参考】・株式会社リクルート「HOT PEPPER Beautyヘア / HOT PEPPER Beautyキレイ利用約款」・SALON BOARD公式サイト・リクルート「ポイント加算・利用条件一覧」・GiL公式サイト